# ツール実行結果のサイズ上限 ## レビュー状態 初回レビュー実施済み。指摘事項と判断は [tool-output-limit.review.md](tool-output-limit.review.md) を参照。 指摘1(デフォルト不適用)・指摘2(truncate と interceptor の順序)の修正待ち。 ## 背景 Pod のセッションで、Glob が `pattern:"*"` でプロジェクト全体を走査し、 約 125KB / 推定 70k トークン超の tool_result を返した結果、次ターンのリクエストが 組織レートリミット(30k input tokens/分)を単発で超過して永久に 429 で詰む事故が発生した。 一度肥大化した履歴は prune/compact が走る前に再送され続け、待っても抜けられない。 根本原因はツールが「呼ばれた通りの結果を素直に全部返す」こと。ツール自身の件数上限 (例: `Glob` の 1000 件)はバイト/トークン単位の上限ではないため機能しない。 ツール実行結果のサイズを LLM に投げる前に強制的にキャップし、LLM に 「検索範囲を絞れ」と促す必要がある。 ## 単位について 理想はトークン単位での上限だが、既存の `pod::token_counter` は provider の `UsageRecord` 実測値を基にした按分・外挿専用で、**未送信の単発ツール出力を 事前にトークン計測する手段は現時点で存在しない**。 ローカルトークナイザは精度・信頼性の理由で意図的に持たない方針。 そこで本チケットではバイト数ベースで上限をかける。UTF-8 のため `str::len()` で O(1) に判定でき、`floor_char_boundary` を使えば文字境界で 安全に切断できる。将来 provider 実測値ベースのトークン上限に 置き換える余地は残す(マニフェストのキー名をそれに合わせる)。 ## 要件 - **単一チョークポイントで全ツールに効く**: 個別ツールの実装を信用しない。 Tool 実行境界(`llm-worker::worker::execute_tools` 内、`ToolResult::from_output` 直後)で `ToolOutput.content` のバイト数を計測し、 上限を超えていたら切り詰めてから履歴に積む。 - **マニフェストで設定可能**: デフォルトは 16KB(30k/分レートリミットに対して 余裕を持った値)。プロジェクトごと・ツールごとに上書き可能。 - **切り詰め後は LLM が検知できる**: `content` 末尾に `[truncated: N bytes dropped, refine your query]` 形式の追記を入れ、 LLM が自発的に絞り込みを試みるヒントにする。`ToolError` にはしない (エラーにすると LLM がリトライループに入りやすい)。 - **`summary` には手を入れない**: summary は常に短い 1-2 行で、上限に達しない前提。 - **`content` が `None` の場合はスキップ**: 計測・切り詰めの対象外。 ## マニフェスト ```toml [worker.tool_output] # 全ツール共通の既定上限(バイト)。省略時 16384。 default_max_bytes = 16384 # ツールごとの上書き。ツール名は登録名("Glob", "Read", ...)。 [worker.tool_output.per_tool] Read = 32768 # Read は大きいファイルを意図的に返すので少し緩める Grep = 8192 ``` - `[worker.tool_output]` セクション自体は省略可能。省略時はデフォルト 16KB が全ツールに適用。 - `per_tool` も省略可能。 - 未知のツール名がマップに含まれていても manifest エラーにはしない(ログ警告のみ)。 ## 実装方針(実装順序) 1. `manifest::WorkerManifest` に `tool_output: Option` を追加。 `ToolOutputLimits { default_max_bytes: usize, per_tool: HashMap }`。 2. 切り詰め関数を `llm-worker` 側に薄く追加。 入力: `content: String`, `limit: usize`, `tool_name: &str`。 `content.len() <= limit` ならそのまま返す。超えていれば `str::floor_char_boundary(limit - suffix.len())` で切って末尾に注記を追記。 3. `Worker` 生成時に `tool_output: Option` を渡し、 `execute_tools` の結果ループで `ToolResult::content` を in-place に書き換える。 4. 各ツール単体には本チケットでは手を入れない。上限を踏んだツールに対して 後続の改善(Glob が `git_ignore` を尊重する等)は別チケットで扱う。 ## 非ゴール - **ツール固有の賢い縮退**(Glob が件数で、Read が行範囲で、など)は扱わない。 まず一律上限で事故を止め、各ツールの自主制限は必要に応じて別チケットで追加する。 - **prompt caching の導入**や compaction 側の改善は扱わない。 本チケットは「1 回のツール結果が履歴に載る前にキャップする」ことだけに集中する。 - **入力側(ツール引数)のサイズ制限**は扱わない。 - **トークン単位での上限**は扱わない。将来 provider 実測値ベースの オンライン・トークン推定が利用可能になった段階で、本チケットで入れた バイト上限をトークン上限に置き換えることを検討する。