yoi/tickets/compact-worker-occupancy-cap.review.md

8.4 KiB

Review: Compact worker のサーキットブレーカーを占有量ベースに統一

レビュー対象: commit ef0cdf7 (base d818b37).

前提・要件の確認

  • 要件1「CompactWorkerInterceptortotal_tokens ベースに切り替え、input_so_far: AtomicU64 経路を廃止」: 満たされている。crates/pod/src/compact/worker.rs:249-274usage_tracker.records()llm_worker::token_counter::total_tokens(context, &records) に置き換わっており、AtomicU64 import / フィールドも削除されている。crates/pod/src/pod.rs:1456 周辺の use std::sync::atomic も消えている。
  • 要件2「Compact worker に UsageTracker を持たせ、pre_llm_requestnote_requeston_usagerecord_usage」: 満たされている。pod.rs:1537-1547summary_usage_tracker = Arc::new(UsageTracker::new()) を作り、on_usagerecord_usage(event)CompactWorkerInterceptor::pre_llm_request 内で usage_tracker.note_request(context.len()) を呼ぶ (compact/worker.rs:262-272)。
  • 要件3「compact_worker_max_input_tokens の意味を「現在占有量しきい値」に変更し doc 更新」: 満たされている。crates/manifest/src/lib.rs:324crates/manifest/src/defaults.rs:39-43docs/compaction.md:143docs/manifest.toml:215 がすべて「現在占有」「累計ではない」表現に揃っている。フィールド名は維持され、後方互換 shim は入っていない (要件通り)。
  • 要件4「compact_worker_max_turns: Option<u32> を新設し Worker::set_max_turns 経由で渡す」: 満たされている。CompactionConfig (lib.rs:329-332)、CompactionConfigPartial (config.rs:118-119)、defaults::COMPACT_WORKER_MAX_TURNS = Some(20) (defaults.rs:46-48)、pod.rs:1548-1550summary_worker.set_max_turns(...)。manifest 側の merge / TryFrom / TOML パースもテスト付きで通っている (config.rs:960-983, lib.rs:521-546)。
  • 要件5「後方互換 shim 無し」: 満たされている。フィールド名は変更しないため旧 manifest はそのまま新セマンティクスで読まれ、deprecated alias 等は導入されていない。
  • 完了条件1「cache hit 込み prefix がフルカウントされない」: 単体テスト compact_worker_interceptor_uses_occupancy_not_cumulative_usage (compact/worker.rs:301-328) で「2 回 100-token 入力 → 累積 200 でも occupancy は最新の 100 のままで cap=150 を通る」を確認。
  • 完了条件2「compact_worker_max_turns で打ち切られる」: set_max_turns のロジック自体は llm-worker 側の既存挙動 (worker.rs:1045-1050) に乗るのみで、本チケットでは新規ロジックを足していない。配線テスト (manifest 側のパース) は入っているが、compact 経由で実 abort する pod-level の統合テストは無し。Trivial wiring なのでブロッキングではないが、後で run-level テストを足すと安心。
  • 完了条件3「Pod::total_tokens() と同じ算出経路」: 満たされている。pod.rs:148 (llm_worker::token_counter::total_tokens(self.history(), &usage)) と compact/worker.rs:265 (llm_worker::token_counter::total_tokens(context, &records)) が同じ関数を経由する。compact 側は per-request の prune 後 request_context を渡すため、メイン側と完全一致ではないが、pre_llm_request 時点でのその後 LLM に投げる prefix 占有量という意味では妥当 (むしろ正確)。

アーキテクチャ・スコープ

  • 修正は compact/worker.rs + pod.rs の compact 構築 + manifest 1 フィールド追加に閉じており、ticket 影響範囲表と完全一致。crates/pod/src/compact/usage_tracker.rs への変更は「records() メソッドを pub(crate) で追加して drain せず読む」のみで、API 拡張は最小。
  • UsageTracker は元々「per-LLM-request 計測のペアリング・drain は Pod が persist 時に行う」モデル。compact worker は drain せず read-only で snapshot を覗くだけなので、メインの persist セマンティクスを汚さない。compact worker のループ内で記録しても drain しないままワーカーが破棄される (pod.rs:1530-1551 で関数ローカル) ため、メインの Pod::usage_tracker (turn 永続化用) とは完全に独立した別インスタンスで、相互干渉しない。設計として綺麗。
  • note_request をメインでは UsageTrackingHook (pod.rs:46-59) として pre_llm_request Hook で呼んでいるのに対し、compact 側は CompactWorkerInterceptor::pre_llm_request 内で直接呼んでいる。Worker のコール順 (Hook → Interceptor → stream → on_usage) を踏まえると note_requestrecord_usage より前に呼ばれていれば意味的に等価で、両者とも同じ tick で呼ばれるため不整合は無い。ただし「メイン: Hook で note_request、Interceptor で別判定」「compact: Interceptor で両方」と配線パターンが分岐している点は将来読む人が混乱するかも。今のままでも動くが、補足コメントを Pod 側か Interceptor 側に入れておくと親切。
  • ループ深さは Worker::set_max_turns 既存機構の流用。新規ロジック無し、コードベースを歪めない選択。

指摘事項

Blocking

無し。

Non-blocking / Follow-up

  • pod.rs:1548-1550if compact_worker_max_turns.is_some() { summary_worker.set_max_turns(compact_worker_max_turns); } は不要な分岐。set_max_turnsOption<u32> を取り、None を渡しても初期値 None を上書きするだけで no-op (crates/llm-worker/src/worker.rs:1369-1371 + worker.rs:1181)。無条件に summary_worker.set_max_turns(compact_worker_max_turns); で十分。条件付けることで「None だと何もしない」読者バイアスを生んでむしろ読みづらい。
  • crates/pod/src/pod.rs:2178-2201MemoryExtractWorkerInterceptor は古い累積メトリック方式のまま残っており、コメントには Mirror of compact::worker::CompactWorkerInterceptor; と書かれている。今回の変更で「mirror」ではなくなったのでコメントが嘘になっている。memory extract 側のセマンティクス変更は本チケットの範囲外で正しい判断だが、コメント補正 (例: 「以前は CompactWorkerInterceptor のミラーだったが、compact 側は占有量ベースに移行した。memory extract 側は別チケットで追従予定」) を別チケットなり TODO なりで残しておきたい。
  • compact_worker_max_turns が compact 経由で実際に Aborted/MaxTurnsReached を引き起こす経路の pod-level 統合テストは含まれていない。配線そのものはトリビアルで、set_max_turns の振る舞いは llm-worker 側で別途テストされている前提。後追いで足すかどうかは判断に任せる。
  • デフォルト COMPACT_WORKER_MAX_TURNS = Some(20)build_summary_prompt の skeleton + 数回ファイル読みなら十分余裕がある妥当なライン。ただし auto_read_budget (8000) と read_file の典型呼び出しサイズを考えると、深いツールループが起きる前にトークン cap が先に効きやすい設計なので、20 が上限になる場面はまずレアケース。妥当な保険値として OK。

Nits

  • compact/worker.rs:249-253 の docstring は新しいセマンティクスを正しく説明できている。良。
  • compact/usage_tracker.rs:102-112 records() の docstring が「request-time circuit breakers が同じ occupancy projection を見るため」と用途を明示しており、将来の extract worker 側追従の伏線にもなっている。良。
  • ユニットテスト compact_worker_interceptor_uses_occupancy_not_cumulative_usage (compact/worker.rs:301-328) は「累積では落ちる量でも occupancy では通る」ケースをピンポイントで掴んでいて、今回の本質的なバグへの回帰防止として的確。

判断

Approve with follow-up — チケットの 4 要件と完了条件 1/3 はすべて根拠つきで満たされている。残るのは (a) set_max_turns 呼び出しの不要な分岐、(b) MemoryExtractWorkerInterceptor 側のコメント陳腐化と将来の追従、(c) max_turns の pod-level 統合テスト追加、いずれも非ブロッキング。マージ可。